
【Vampire Weekendからスガシカオまで】おうち晩酌するときの音楽。Laura day romance・鈴木 迅さん選曲!
LaLa BeginのSpotifyプレイリスト! 3月編
季節に合わせて着たいスタイルや、LaLa Beginの特集から連想された渾身の10曲をご紹介するプレイリスト連載「服と音楽」。今回は3月10発売のLaLa Begin本誌とリンクして、”酔いっ張り上手のおうち晩酌案内”をテーマに10曲を選曲。
選曲してくれるのは、バンド・Laura day romanceで作詞・作曲・編曲・ギターを担当するアーティスト、鈴木 迅さんです。
これまでの連載と、迅さんのプロフィールはこちらから。
3月のテーマ:最新号【酔いっ張り上手のおうち晩酌案内】特集連想の10曲
今回のテーマは「おうち晩酌」のお供にする音楽。 毎回書き出す前に特集記事の草案をいただくのですが、僕みたいな普段からお酒を嗜むことのない人も楽しめる、贈り物についてや好みのお酒との出会い方まで網羅した(お酒を普段それほど嗜まない僕でもワクワクするような)懐の深い記事でした。
それならば僕が書くべきは「音楽を聴きながらお酒を飲むのって楽しい、でもどんな音楽を聴けば良いんだ……」と迷える人たちを手助けするプレイリスト。あくまで「おうち晩酌」なのでお店では流れないような、そんな観点から10曲選んでみました!
Otis Redding – Champagne and Wine
伝説的なシンガーがたくさんいるソウルミュージック界ですが、とりわけ音楽を聴き始めてから僕の中でずっと好きなソウルシンガーとして君臨し続けているのが、Otis Redding。たくさんの名演がある中で今回のテーマに沿って選んだのは比較的渋めな楽曲。物語の中の二人を繋ぐ存在としてChampagne and Wineがあるわけです。Otis Reddingの歌って泥臭くて少しモテなそうなのがいい んですよね。
Vampire Weekend – Flower Moon
今やアメリカを代表するスーパーバンドになったとも言えるVampire Weekend。寡作な彼らの2019年の最新作からの選曲ですが、落ち着きがちなお酒のお供のBGMにしてはアップテンポで異色な手触り。アメリカでは5月に多くの花が咲くことから「5月の満月」のことを「Flower Moon」と呼ぶらしい。歌詞は周期や世界線について、と少し難解ながら、ラテンのような明るいムードに乾杯したくなるような雰囲気。こんな曲があってもいい。
Jack McDuff – Moon Rappin’
Jack McDuffは1960年代に活躍したアメリカのジャズオルガン奏者。『Moon Rappin’』はジャズという枠組みに収まらない宇宙旅行のような浮遊感、煙たいアンサンブルなのにメロディラインはポップで覚えやすいという不思議な一曲。6分と長めなのに一瞬で終わってしまいます。お酒が片手にあるなら尚更。
Beach House – Somewhere Tonight
こちらも今や大御所と言えるアメリカのドリームポップバンド、Beach House。俳句のように限られた言葉のイメージをサウンドで押し広げていくような幻想的なムード。ドリームポップって意外にお酒との相性よくない気がしているんですけど、この曲はオルガンの音が絶妙に地に足付いていて良い感じです。『Somewhere Tonight』。なんて素敵なタイトル。
Bruno Major – Like Someone In Love
ジャズスタンダードの有名曲として、多くの人にカバーされている『Like Someone In Love』をイギリスのシンガーソングライターである、Bruno Majorが演奏したバージョンを選曲。Ella Fitzgeraldなどのバージョンも最高なんですが、彼のバージョンはもっと軽快で、お茶目なのに一人ぼっちという印象。彼がほとんど一人の部屋から音楽を作り上げてるからだと思いますが、この寂しさがおうち晩酌に絶対合うはず。
スガシカオ – 黄金の月
僕が国内の音楽でも屈指の名曲だと思うスガシカオさんの2nd single。1997年リリースだったのでもう20年以上前の曲なのに一切古びてない。先述のJack McDuff にも通じる煙たいアンサンブルの中に希望も諦めも感じさせるメロディラインが最高にマッチしています。感傷的になりすぎてしまわないように注意です。
Parliament – Funkentelechy
奇抜なファッションに身を包み、同等、いやそれ以上のド派手な面子を揃えた軍団を率いる総帥であり、ファンクミュージックの生ける伝説。と初っ端から伝えきれないほどの情報量を持つジョージクリントンの率いるパーラメントというグループの一曲。宇宙的であったり、漫画的であったり強烈な個性に隠されがちですが、注目すべきはスウィートなメロディセンス、好き勝手やりながらも計算された演奏。この曲を聴き終わる頃にはあなたも「パーラメント最高!」と思っているはず。
The xx – VCR
イギリスのロックバンド、The XXの2009年にリリースされたファーストアルバムは今聴いても、その洗練された音選びが古びない名作なのですが、その中でも最も古い曲と言われている一曲。『VCR』はVideo Cassete Recorderの略で、その映像を見ながらお互いを讃えあうような歌詞。冒頭からなる印象的な透明感ある音色。外食ではおそらく流れないようなサウンドを聴きながら飲むのも楽しいかも。
三輪二郎 – おもいで
昨年ベストアルバムがリリースされたことも記憶に新しい日本のシンガーソングライター、三輪二郎さんの一曲。背伸びせず、本当にお酒を囲んで知り合いの人の話をうんうんと聴いているような気持ちになるそんな名曲。どこまでも日常で、なのにちょっとロマンチックで居心地が良い。
Nina Simone – He Was Too Good To Me
不世出のシンガーであるNina Simone のパフォーマンスする、このライブ録音されたアルバムのタイトルは 『At the Village Gate』。おそらくかなり小さめな会場で演奏されているので、曲によっては 食器を運ぶ音のようなものが収録されている面白い作品なのですが、その中からこれまた多くのバージョンが存在するスタンダードを選曲。本当にその場で聴いてるかのような臨場感が魅力で、これぞライブ録音という感じ。たまにはそんな名演をお供に贅沢なおうち晩酌もありかもしれません!
それでは今回はこの辺で。