
平成の女性アイドルを振り返る【オモムロニ。の平成センチメンタル】
平成センチメンタル 第4回 終わるって分かると、ちょっと切ない。今思えば笑っちゃうけど、何だか愛おしいあの頃のモノ・コト・気持ち
04 女性アイドル
女性アイドルが好きです。思い起こせば初めて買ったCDも、初コンサートも、最初のファンクラブ入会も、全て女性アイドルでした。
その後ゴリゴリのロックや洋楽にかぶれて斜に構えてみたものの、三十路峠を越えたあたりで振り返ればアイドル界は百花繚乱の戦国時代。
「弱ってる時に聴くアイドルソングは麻薬」なんて言葉もありますが、酸いも甘いも現実も、そこそこ分かってきたからこそ、昔とは違う感覚でまた胸が熱くなってしまう。

皆さんの記憶に残る女性アイドルはいますか?
平成の初め、90年代はいわゆる「アイドル冬の時代」と言われてますが、個人的には正直ピンとこないんですよね……。
確かに国民的なアイドル歌手は不在だったけど、バラエティ番組の歌コーナーも、ポロリあり?の水泳大会も、アイドル雑誌もたくさんあったし、土曜の午後なんてアイドルメインの番組を3つハシゴして観てた記憶も。
さらに〝3M〞と呼ばれた御三家(※平成キーワード参照)や後のヒロスエ、ともさか、深キョン、内田有紀などCMやドラマから生まれたスターが歌手活動もして、アイドル的な人気でした。
そんな中であの人が現れます、安室ちゃん。
彼女がいた〈スーパーモンキーズ〉は歌もダンスも本格的すぎて、当時アイドルの中では少し浮いてました。
思い出すのはデビュー前、当時日本一顔が小さいと言われていた観月ありさのコンサートを観に行って、その会場で見かけた、もっともっと小顔の美少女。
その時は誰なのか分からないけど強烈に印象に残っていて、のちにテレビで歌い踊る彼女を観たときの衝撃、今も中野サンプラザの赤階段を上るたびに思い出します。
そして96年のアムラー現象以降、〈SPEED〉のようなダンスボーカル系やアーティスト寄りの歌姫たちがアンニュイに歌い上げていた世紀末、底抜けに明るいディスコファンクとへんてこダンスで不景気なニッポンを盛り上げたのが99年の『LOVEマシーン』。
その〈モーニング娘。〉や〈ハロー!プロジェクト〉が20周年です。
だいぶ引っ張りましたが、今回のテーマを〝女性〞アイドルに限定したのはそこなんです。男性アイドルに比べて、長く続くことの難しさ。〈AKB48〉以降あらゆるコンセプトや個性のアイドルが誕生して、活動の仕方もファンの価値観も自由で多様になったはずなのに、やっぱり超えられない「恋愛NG」の大きな壁。
有限だからこその儚さも魅力だけど、恋愛も結婚も(たまに失敗も)その時々の年齢相応な輝きを人生まるごとずっと応援していけるような、いわば松田聖子みたいな女性アイドル、そろそろ現れないかなぁなんて、12年ぶりにハロプロの舞台に立った加護ちゃんに涙しながら思ったのでした。
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声に出して覚えておきたい
平成キーワード
3M
90年代前半、圧倒的存在感でCM美少女ブームを牽引した「M」が頭文字の宮沢りえ、牧瀬里穂、観月ありさ。同性が憧れる“かわいくてオシャレな顔”の先駆け。
PPPH
王道アイドルポップスのBメロによくあるリズム「パン、パパン、ヒュー」に入れるファンの合いの手。昭和の頃は「ワンツー手拍子」と呼ばれていました。
接触
近年のアイドルにとって握手やチェキ会などファンとの触れ合いは活動の大きな柱。TO、剥がし、ループ、鍵閉め……。「神対応」という用語は今や一般的に。
Profile
Omomuroni / オモムロニ。
77年生まれの雑貨コーディネーター。最近気になっているアイドルは、名古屋
発の〈FAREWELL, MY L.u.v〉と、全員が美少女の〈Task have Fun〉、そしてハロプロ研修生の新グループに注目しています。
[LaLa Begin2018年10-11月号の記事を再構成]※掲載内容は発行時点の情報です。