2023 Jun 09 Fri

【1970年代のファッションブームとは?】「COOLS」と「フィフティーズファッション」と原宿「ピンクドラゴン」

装い今昔物語 第6回 昔の雑誌を紐解けば、今の装いが見えてくる。連載一覧はこちら

いであつこ

仏・イボルンヌ大を主席で卒業。平成服装女子学院トレンドマスコミ学部准教授。服飾誌研究家として活躍中。コラムニストのいであつしとは双子の兄妹。

いつの時代も不良の匂いがする男の子に女の子は憧れちゃいます。1970年代の原宿には、オシャレでおませな女の子たちがみんな憧れた、クールでイケてる不良グループがいました。その名も「COOLS(クールス)」です。

クールスは、原宿にあった「レオン」という喫茶店に出入りしていたバイクチームです。リーゼントに革ジャンスタイルで、リーダーはあの舘ひろしさん。メンバーには岩城滉一さんもいました。

フィフティーズファッション

1975年6月号の『mcシスター』を紐解くと、「暴走族を超越したクールな野郎たち」という見出しで、ハーレーに跨って原宿に集合したクールスが紹介されています。

1977年の『ポパイ』第4号を紐解くと「いつの時代も若者のファッションをリードしてきたのは不良少年だ」という見出しで、ジェームズ・ディーンのように赤いドリズラーを着た岩城滉一さんや、『アメリカングラフィティ』のファラオ団のように古着のアワードジャケットを着た舘ひろしさんがモデルで登場しています。

そういったスタイルを「ロカビリーファッション」、「フィフティーズファッション」と言います。

元々は1950年代にアメリカで大流行したファッション。女の子はポニーテール、半袖ブラウスにふわりと裾が広がった水玉のサーキュラースカート、足元は「ボビーソクサー」と呼ばれる二つ折りソックスにサドルシューズが決まりです。リーゼントに革ジャンの男の子とツイスト&ジルバを踊れば、気分は50年代アメリカ!

80年代に入るとフィフティーズファッションは、81年に『ブルータス』で、82年には『ホットドッグプレス』で、またファッション誌だけでなく『アサヒグラフ』でも特集するほどになりました。

ブームに拍車をかけたのが、原宿のキャットストリートに今もあるフィフティーズファッションのお店「ピンクドラゴン」です。

オーナーの故・山崎眞行さんは、英国の人気ファッションモデルと恋仲になったり、デビュー当時の矢沢永吉さんと親交があったり、原宿のファッションカルチャーをつくった伝説の人。店員たちで結成したロカビリーバンド「ブラックキャッツ」はロンドン公演も果たしました。

ホコ天ブームの時には、「ピンクドラゴン」にコームやポマードを買いに来る修学旅行生が列をなすほどの大人気でした。

この夏は、あの頃の熱かった原宿に思いをはせてポニーテールでツイスト&ジルバを踊ってみないこと? 革ジャンが似合う不良の匂いがする男の子募集中♡

おせっかいなファッション用語辞典

  • レオン

    70~80年代初頭にかけてデザイナーやフォトグラファー、スタイリスト、コピーライターなど多くのクリエイターたちが集った、神宮前交差点にあったセントラルアパートの伝説の喫茶店。

  • アメリカングラフティ

    1973年に公開されたアメリカの青春映画。劇中にかかる60年代のロックンロールの名曲や、登場人物のアイビールック、フィフティーズルックは、今でもファッションの教科書になっている。

  • サドルシューズ

    アッパーの色の切り替え部分が、馬の鞍(サドル)に似ていることから名づけられたレザーシューズ。フィフティーズやアイビースタイルには欠かせない靴。リーガルのものが人気だった。

連載「装い今昔物語」

装い今昔物語

昔の雑誌を紐解けば、今の装いが見えてくる。

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[LaLa Begin 2022年 6-7月号の記事を再構成]資料協力/神保町magnif マンガ/しまだたかひろ ※掲載内容は発行時点の情報です。

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