
【Laura day romance・鈴木 迅さん選曲】細野晴臣からプリンスまで”日常に寄り添う”5月のプレイリスト
LaLa BeginのSpotifyプレイリスト! 5月編
季節に合わせて着たいスタイルや、LaLa Beginの特集から連想された渾身の10曲を毎月ご紹介するプレイリスト連載「服と音楽」。今月は服に合う、デイリーに使えるカバンを多数ご紹介している5月12日発売のLaLa Begin本誌とリンクして、”日常に寄り添う曲”をテーマに10曲を選曲。
選曲してくれるのは、気鋭のバンド・Laura day romanceで作詞・作曲・編曲を担当するアーティスト、鈴木 迅さんです。
これまでの連載と、迅さんのプロフィールはこちらから。
5月のテーマ:最新号【ボーイな女の服に合うカバン】連想の10曲
今年に入ってから2回目の連載。
3月に自分たちのバンドがアルバムをリリースし、(興味ある方はプロフィールから是非!)5月に開催される東名阪ワンマンライブの準備に追われる日々を送っています。そんな日々の中、前日夜中までの作業が祟り、僕はこの連載の打ち合わせに遅刻。「今回は日常になじむ音楽で」とのことで、遅刻した申し訳なさもあり、二つ返事でok。を出したものの後々、今までのプレイリストも日常になじむ感じで作っちゃったからなぁと悩むことに。
音楽の世界にはeasy listeningというジャンルが存在して、いわゆる「気軽に聴ける」ってことなんですが、そんな曲たちをこのテーマに当ててしまうのはどこか悔しい気がしてしまう。
なので今回は日常になじむけれど、どこかワクワクして、日々の疲れに沁みて、忘れられない。自分にとって日常を絶妙に彩るけど支配しすぎない名曲を集めてみました。
僕自身もこの曲たちに日々救われています。是非。
細野晴臣 – スマイル
元々はチャールズ・チャップリンが自作の映画「モダンタイムス」で使う曲として作曲したもの。それが後年ソウル歌手Nat King Coleにより歌詞が付けられて歌われたことにより、たくさんのミュージシャンにカバーされる名曲になりました。マイケルジャクソンのカバーなども有名ですが、これは日本のミュージシャン細野晴臣さんによるカバー。深い溜息のようなアレンジは日常を見ていながら達観しているような雰囲気。過去と現在をさらっと繋いで煙みたいになじむ名カバー。素敵です。
B.J.Thomas – Raindrops keep fallin’ on my head
60年代アメリカの名作映画として名高い、「明日に向かって撃て!」の主題歌としても有名な一曲。映画自体は西部劇なので激しい争いが続くんですが、平和な一幕でこの曲は流れます。いつかくるはずの平穏な日々に思いを馳せるような歌詞は、タイムレスな響きを持って現代の日常にも響きます。
Prince – Baltimore
2016年に逝去した不世出の天才ミュージシャン・Princeの実質遺作となったアルバム「HITnRUN Phase Two」からの一曲。これでもかというぐらいポジティブなフィールを持ったビート、サウンドでこの曲を聴くと街を歩くスピードが変わります。そして歌詞の内容は米ボルチモアで起こった警察による不当な黒人の扱いに対する抗議運動に支持を表明し、悲しみを乗り越えていこうとするもの。ポップソングと意見の表明の両立は難しいものですが、この曲は息を飲むほどに完璧。
Daniel Johnston – The Story Of An Artist
こちらも2019年に逝去したインディミュージック界のヒーロー、Daniel Johnstonの初期の一曲。近年Apple製品のcmにも使われたこともあり、聴いたことがある人も多そうですね。普通に生活している中でこんなに音質の良くない(ダニエルは当時弾き語りをカセット録音していました!)曲に出会うこともなかなかないと思いますが、気づいたら繰り返されるメロディが癖になっている名曲です。彼は生涯音楽にピュアであり続けたんだろうなあ、なんて考えながら僕はいつも彼の曲を聴いています。
David Byrne – Strange Overtones
Talking Headsというバンドのボーカリストとしても有名なDavid Byrne のソロ曲。エキセントリックでパンチのある表現者としての印象がありますが、この曲の歌詞にもあるようにその根底には、奇妙なものの中に、自分と共鳴するものを見つけ出す優しさがあると僕は思います。ちょっと奇妙なポップソング。
King Gizzard and the Lizard Wizard – Sense
2010年代から活動しているオーストラリアのバンドの一曲。とにかく多作(活動10年ほどで現在アルバム18枚!)かつバラエティー豊かな作風のバンドですが、フォークを軸にしたアルバムから選曲。どこか怪しい雰囲気がありつつも、心地いいテイスト。晴れた日に洗濯機回しながら、とか良さそうです。
Graham Coxon – Look Into The Light
イギリスのバンド・BlurのギタリストとしてもおなじみのGraham Coxonのソロ作から。近年Netflixの「このサイテーな世界の終わり」のサウンドトラックを担当したりと活躍中の彼ですが、肩の力が抜けていて繊細なのに、狂気を感じさせるアコギの質感が印象的です。聴き心地良すぎない部分が彼のカラーと言えるかもしれません。
Kevin Shields – Ikebana
『ロスト・イン・トランスレーション』という日本を舞台にした映画のサントラからの一曲。海外の人が日本を想定して作る音楽は、過剰にエキゾチックだったりすることもあって、あまり好きになることはないんですが、Kevin Shieldsがこの映画に宛てた曲は日本の清らかな文化と雑多な印象を上手に捉えている気がします。そもそもこの人の作家性が日本に合っているのかもしれません。
Love Apple – Guess I Always Knew
基本的にこのプレイリストは僕がよく知っているアーテイストを選曲することが多いのですが、このLove appleというアーティストのことを僕はほぼ何も知りません。カフェで流れていて偶然知った曲ですが、帰り道調べてずっと聴いていました。調べたところ女性三人組ボーカルトリオとのこと。鍵盤が渋いい。
Yo La Tengo-I Saw The Light
すっかりこの連載おなじみとなってしまったYo La Tengo。大ファンなんで仕方ない。この曲はTodd rungrenというミュージシャンのカバーなんですが、本人のカバーがいかにも名曲という気合の入ったアレンジなので、日常になじむ方はこっちだろうと選曲。「この曲演奏してみない?」的なリラックスした雰囲気の録音意外にないんですよね。貴重です。