2022 Jul 05 Tue

【万年筆迷子に届け!】大人の万年筆デビューには「とりあえずライティブ」で間違いなし!

文房具マニア・ヨシムラマリの文房具(グ)ルメ 国内外のブランドがひしめき、文房具大国といわれる我が日本。高級品が威厳を放つ一方で数百円の筆記具がイノベーションを起こすなど、貴賤上下の別のない世界はラーメン店がミシュランの星を獲得するニッポングルメと相似関係にあり。というワケで、文房グルマンのイラストレーター、ヨシムラマリ氏がその日の気分とお腹のすき具合でさまざまな文房具を食リポしちゃいます。描き下ろしイラストとともにご賞味あそばせ!

 

たとえば、離れた場所に住む親族や友人があなたの住む土地を訪ねてきて、「そういえばこの辺りって◯◯が名物なんだってね。私、◯◯って食べたことないんだけど、おすすめのお店ある?」と聞いたとしよう。

多くの人には個人的に好きなお店とは別に、初めての人にすすめるならココだな、っていうお店があるだろう。羊羹といったらとらや、とか。味噌煮込みうどんといったら山本屋、とか。宇都宮餃子といったらみんみん、とか。個性派や変わり種もゆくゆくは味わってほしいけど、初めてならまずは鉄板・定番・王道のいいやつを知ってほしい。そんな思いで地元民がおすすめするお店が。

このような書きものをしていると、文具に詳しい人と認知されがちで、まさに「地元民」としての意見を求められることがある。「万年筆に興味があって使ってみたいんだけど、初めて買うなら何がいいですか?」という質問である。

今までは、相手に合わせてその時々で考えて答えていたが、これからは「初めてならまずこれを買うといいよ!」と回答すること間違いなしの万年筆が登場した。2021年12月にパイロットから発売されたエントリークラスの万年筆、「ライティブ」である。

ライティブはLIGHT(軽い)とACTIVE(活動的)を組み合わせた造語で、万年筆を常に持ち歩いてもらって、万年筆で書くことを気軽でアクティブにしてほしい、という願いを込めて名付けられたそうだ。

すでにパイロットが提供しているエントリークラスの万年筆として「カクノ」があったが、これは子供向けというコンセプト。1100円と超リーズナブルでありながら書き心地に一切の妥協はなく、大人でも十二分に使えるものの、色合いがカラフル&ポップで、ペン先にもニコニコ顔マークがあったりと、人によってはかわいすぎて仕事で使うのにはちょっと、という側面もあった。

そこに、大人向けのエントリークラスとして登場したのが今回のライティブである。2200円とカクノよりはやや値が上がるものの、万年筆として考えればそれでもかなりのお手頃価格である。

軸の素材はプラスチックだが、安っぽい感じはまったくなく、スタイリッシュな佇まいとカラーはビジネスシーンにもしっかりマッチする。ボールペンなどの筆記具を使い慣れている人からすれば、トラディショナルなデザインの万年筆にいきなり入っていくよりも、違和感なくスイッチできるのではないだろうか。

お手頃価格のエントリークラスといっても、そこはさすがのパイロット。書き心地だって抜群である。ボールペンと万年筆のいちばんの違いは、ペン先が紙に触れるだけで書けるから筆圧がほぼ必要ないところだが、ライティブでもこの万年筆特有のなめらかで浮くような感触を存分に味わうことができる。

また、引っぱるだけで開けられるキャップもポイントだ。高級万年筆はネジ式のキャップが多いのだが、これは気密性を高めるための工夫である。引くだけのキャップ(カクノもこの方式)は手軽に使える反面、気密性が低くインクが干上がりやすいという弱点があった。

ライティブでは、新仕様のインナーキャップを採用することで、引くだけのキャップでありながら、ネジ式に匹敵する気密性の高さを実現している。つまり、ボールペン並みの手軽さで使えて、インクが乾燥することによって生じるメンテナンスの手間もはぶけるというわけ。まさに万年筆に慣れてない人、これからデビューしたい人にはうってつけの一本なのだ。

当然だが、「とりあえずココ」と名前が挙がるお店以外にも、いいお店は星の数ほどある。ただ、初めてそのジャンルに触れる人には、まずは「スタンダードでいいやつ」に触れてほしいというのが、ちょっと先を行く人の願いではないだろうか。もちろん慣れてきたらどんどん新しいお店を味わってほしい。でもその前に、ど真ん中にしっかりと基準をつくっておくと、足がかりが確かなものとなって、開拓の楽しみはよりくっきりとした輪郭を持つことだろう。

そんなわけで、大人の万年筆デビューしたいなら、「とりあえずライティブ」で間違いなし、ですよ!

パイロット ライティブ
2200円
https://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/fountain/lightive/

Plofile

ヨシムラマリ

神奈川県出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手掛けている。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。

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