2023 Feb 07 Tue

「ancora(アンコーラ)」で自分の好みど真ん中のMY万年筆を作ろう。そこには無限の可能性が……

文房具マニア・ヨシムラマリの文房具(グ)ルメ 国内外のブランドがひしめき、文房具大国といわれる我が日本。高級品が威厳を放つ一方で数百円の筆記具がイノベーションを起こすなど、貴賤上下の別のない世界はラーメン店がミシュランの星を獲得するニッポングルメと相似関係にあり。というワケで、文房グルマンのイラストレーター、ヨシムラマリ氏がその日の気分とお腹のすき具合でさまざまな文房具を食リポしちゃいます。描き下ろしイラストとともにご賞味あそばせ!

いつかその場所に行って食べてみたいと思いながら、未だに口にすることができていないご当地グルメがたくさんある。

その中でも特に気になっているのが、「勝手丼」である。北海道は釧路駅から徒歩5分。海産物が豊富な日本の中でも指折りの漁港のひとつ、釧路漁港のほど近くにある釧路和商市場の名物として知られている。

勝手丼のシステムは、まず白いご飯を買って、それから市場内を回りながら好きなネタを好きなだけ購入してのせていくというもの。市場内のすべてのお店がこのサービスに対応しているわけではないが、釧路漁港の新鮮なネタから、自分の好きなものだけをピックアップした夢の海鮮丼が作れるのだから、魚介好きにとってはたまらない。

しかし、旅行ひとつままならないこのご時世。実際に足を運べるのは、まだまだ先になりそうだ。そこで江戸の仇を長崎で討つ、ではないけれど、都民である私は、勝手丼の仇を万年筆で討つことにした。

やってきたのは、東京は銀座。JRの有楽町駅を出て、東急プラザ銀座を横目に見ながら通り過ぎ、少し歩いたその先に「ancora(アンコーラ)」というお店がある。ancoraは、セーラー万年筆とプラスが共同でオープンしたステーショナリーショップだ。コンセプトは「カスタマイズ」と「ギフト」。オリジナルの万年筆や、お好みの色のインクブレンド、パーツを選べるスケッチブックなど、その場で「自分だけ」の製品を手にできる。また、誰かに贈りたくなるスペシャルな限定品も揃っている。

そんなお店のオリジナルサービスのひとつが、自分だけのカスタマイズ万年筆が作れる「アンコーラMy万年筆」コーナーである。キャップやボディなど、5種類の樹脂パーツは10色から、金属パーツは2色から選べる。つまり理論上は、10×10×10×10×10×2=20万通りの組み合わせが可能なのである。20万通りと言われても正直ピンとこないが、とにかくたくさんだ。夢がある。

万年筆は、セーラー万年筆の「プロフィットJr.」がベースになっており、ペン先はancoraのショップロゴが入ったデザインになっている。選んだパーツを店員さんに渡すと、その場で万年筆の形に組み上げてくれる。

なにしろ組み合わせは20万通りだから、自由過ぎて選ぶのは難しい。あらかじめ自分なりのテーマを決めておくのがいいだろう。勝手丼にたとえるなら「ホタテは絶対に食べたいから最初に入れて、あとはそれに合うものを…」と組み立てていくイメージだ。自分の好きな色でもいいし、プレゼントにするのであれば、贈る相手の印象から思い浮かぶ色からスタートするのもいいだろう。

カスタマイズ万年筆を頼むと、おまけでカートリッジインクもつけてもらえるけれど、ここまで来たなら万年筆に入れるインクまでコーディネートするのもおもしろい。ancoraでは、常時144色のボトル入りインクが用意されている。20万に144をかけると2880万通り…とにかく、たくさんだ。万年筆でボトルインクを使うためのコンバーター(別売り)もセットにすれば、とても気の利いたプレゼントになる。

私は最近ゴールドの小物にハマっているので、ちょっとひねってゴールドのコンバーターからスタートして組み立ててみた。コンバーターを見せるために軸を透明にして、それ以外はあえて不透明に。金属パーツはゴールドに統一し、それ以外の樹脂パーツはコンバーターに入れるインク色を選ばない無彩色にした。

透明軸の万年筆は比較的よく見かけるが、軸以外が不透明の透明万年筆はありそうでない。店員さんが組み上げてくれた万年筆はまさに自分の好みど真ん中の仕上がりで、大満足である。

ただし万年筆が勝手丼と違って恐ろしいのは、「お腹の容量」というリミッターがないことである。まあでも、筆記具なんてなんぼあってもいいもんですからね。迷ったら別腹で、いっちゃいましょう。

ancora「カスタマイズ万年筆」
3850円

Plofile

ヨシムラマリ

神奈川県出身。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。現在は会社員として働くかたわら、イラスト制作や執筆を手掛けている。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。

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