
【メンテナンス講座】たった15分で見違える⁈ 靴磨き職人が教える革財布ケアの極意
ケア次第で財布の育ち方が変わる!
長く使うことを念頭に、思い切って買った革の財布。いつ人に見られても恥ずかしくないように、定期的なお手入れが必要です。手の脂でいいんじゃない?なんてのはNG。それだと革の育ち方にムラが出てしまい、逆に美しい色にならない原因に……。
そこで、レザーケアのプロであり、靴磨き職人として大会にも出場しているGMTファクトリーの冨樫さんに、革財布のケア方法を教えていただきました! これを読めば、雑に扱っていた財布の扱いが変わりますよ♪
〈お話をうかがったのは……〉

GMTファクトリー 靴磨き職人 / シューケアトレーナー
冨樫 輝好さん
靴に携わる仕事をして、およそ15年の冨樫さん。シューズショップで販売をしていた時代、お客さまからの問い合わせに答えるため、革の種類やメンテナンスの知識をつけはじめるように。
素材によってケア方法を替えるべし
編集部 こんにちは。じつは、私たちレザーケア初心者でして……。
冨樫 大丈夫です! レザーは昔から親しまれてきた素材です。今では様々なケア方法が登場し、最低限のメンテナンスなら自宅でも簡単にできますよ。特に、財布は楽チンです。靴のように複雑な構造ではありませんので。
編集部 それは朗報です!
冨樫 汚れをきれいに落として、いい油分を革になじませてあげる。お肌のケアと似ていますね。ところで、今日はどんな革財布のケア方法を紹介しましょうか?
編集部 これら(上写真)です! 今回はこの中から、財布によく使われるレザー「フレンチカーフ」「ブッテーロ」「ブライドルレザー」のケア方法を教えてほしいです。
冨樫 わかりました! では、まずフレンチカーフの財布からいきましょう。基本のケア手順と一緒に、塗装が施されている財布のお手入れ法もお伝えしますね。
編集部 よろしくお願いします!!
基本のケア手順〜フレンチカーフ編〜
フレンチカーフ
カーフとは生後6か月以内の子牛の革のこと。なかでもフランス産の上質カーフのことをフレンチカーフと呼びます。キメが細かく柔らかいのが特徴です。
①ブラシでざっとホコリをはらう
冨樫 一日中持ち歩く財布にはホコリがたくさんついています。そのままにしておくと、革の油分を吸い取ってしまうので要注意! はじめに、馬毛のブラシでざっとはらい落としましょう。
②リムーバーで汚れを落とす
冨樫 次に表面の汚れを落としていきます。使うのは水性タイプのリムーバー。市販の靴用のもので構いません。
編集部 革の色味がワントーン上がったような気がします。
冨樫 これをするだけでも、見違えますよね。それにリムーバーで汚れを落とす行為は、財布のコンディションを知るためにも重要なんです。例えばここ。
背の部分、少し黄みが強いですよね? じつはコレ、汚れじゃありません。塗装が剥がれて、原皮の色がうっすら浮かび上がっている状態なんです。
編集部 汚れだと思っていました(驚)!
冨樫 わかりづらいですよね。でもリムーバーで磨くことで「汚れ」か「キズ」か判別しやすくなります。基本的に塗装革は水分を弾きますので、リムーバーを塗ったとき「革の色が濃くなったらキズ」と覚えておくといいでしょう。汚れの場合はそのまま汚れが残るので、この工程で優しく磨いて落としておきます。
注意してほしいのは、キズを汚れだと勘違いしてこすり過ぎてしまうことです。財布を傷めてしまう可能性があります。塗装革に関しては色を調合してキズを隠すという方法もあるので、不安に思ったらプロへおまかせくださいね。
編集部 使う布はどんなものがいいでしょうか?
冨樫 お手頃価格の専用クリーナークロスがあります。コットン100%の柔らかい布がオススメです。着古したTシャツのハギレでも構いませんよ。
③オイルを塗り込む
冨樫 これまでの工程で、ホコリや汚れが取れましたね。毎日のスキンケアで例えると、いまの財布の革は洗顔後のキレイな肌って感じです。いよいよオイルを塗り込んでいきたいと思います。
編集部 「手の脂で十分だ!」なんて聞いたこともあります。
冨樫 僕もです(笑)。ただしムラなく綺麗に革を育てたいのなら、それだと不十分。手って普段、生活する中でかなり汚れますよね。つまり脂も汚れているってことなんです。
編集部 なるほど。
冨樫 今回は動物性タイプのクリームを塗って仕上げていきたいと思います。革に浸透しやすく、初心者の方にオススメです。量は指先にちょっとつけるくらいで十分。革の表面に薄い膜を張るような感じをイメージしてください。
編集部 塗り方のコツはありますか?
冨樫 革はいろんな方向に繊維が走っているので、くるくる回すように塗り込むのがポイントです。革目がはっきりしている財布に関しては、その革目に沿って塗り込むのもいいでしょう。ここまでくれば、もうゴールはすぐそこです。
④ブラシでクリームをなじませる
冨樫 先ほどのクリームをなじませるために、豚毛のブラシでさっと磨きます。豚毛は馬毛に比べ硬いので、オイルをムラなく全体に広げられるんです。ゆっくり、優しく磨いてあげてください。
⑤乾拭きをしてフィニッシュ!
冨樫 とうとう最後の工程です。綺麗なクロスで乾拭きしたら、フィニッシュです!
編集部 かかった時間は、およそ15分くらいでした。思っていたよりも簡単そうで、ちょっと安心しました!
冨樫 よかったです(笑)。次は、どの財布のケア方法にしましょう?
編集部 次にケア法を紹介していただきたいのは、ララビギン ドライグッズストアでも取り扱い中の大阪の革小物ブランド《Munekawa(ムネカワ)》の財布です。