
【ウエアハウス・藤木さんに聞きました】味のあるデニムを育てるために大事なこと
誰しもが、一本は持っているであろう定番アイテム、デニムパンツ。私たちを惹きつけるそのわけは、きっとはきこむほどに廃れることなく、魅力が増すから。そんな愛しいデニムのこと、「生地の持つ不完全さの魅力」「自分だけの一本に育てる楽しさ」「サイズとシルエット次第で新鮮に着こなす方法」の3つをテーマに、デニムのことに詳しい“先輩”にききました。
「はきこんで自分だけの一本がつくれる」
ウエアハウス 藤木将己さん
世にも美しいヴィンテージデニムの魅力に取り憑かれ、大学卒業後、ヴィンテージに迫るレプリカデニムを手掛ける同社に入社。その豊富な知識で兄弟誌「Begin」ではデニムのご意見番的存在。www.ware-house.co.jp
“シュリンク・トゥ・フィット”を知っておこう!
デニムを洗ったら少し縮んできつくなったけど、がんばってはくうちに、また伸びてジャストフィットするようになった。こんな経験ってない? こうやって自分の体型になじませていくことが“シュリンク・トゥ・フィット”。デニムの特性でもあります。

コーヒーみたいに手間をかけるほど美味しくなる
「レディスでは色落ちしたデニムが人気ですが、あれってじつは自分でつくることができるんです。たまにはゼロから自分だけのデニムを育ててみませんか」
こう語るのはデニムの名店、ウエアハウスの藤木さん。
「ゼロから育てるときは、生デニムやリジッドデニムとよばれる未加工のデニムを使います。まず水洗いをするのが生デニムをおろすときの流儀。この最初の水洗いで2インチほど縮むので、丈詰めするならこのタイミングです。それから1か月は洗わずに自分の体型をじっくり覚えさせる。その後は適度に洗って縮ませてまた伸ばしてと、伸縮をくりかえしながら体型に合わせていくことを、デニム用語で“シュリンク・トゥ・フィット”といいます。こうすると、自分を最高に引き立てる自分仕様のシワやアタリを育てることができるんです。市販のミディアムインディゴぐらいに色落ちするまで、だいたい3年から5年かかります」
リジッドデニムの場合→こぶし1個分入るウエストで選ぶ

ワンウォッシュデニムの場合→ジャストサイズで選ぶ

デニムを育てるって壮大なプラン! でもそれこそがデニムの面白さ。
「コーヒーを丁寧にハンドドリップするように、デニムも手間をかけるほど香り高い色落ちになる。そんな育てる工程をぜひ楽しんでほしいですね。デニムを愛おしむ自分のこともきっと好きになれると思います」
味のあるデニムを育てるなら…
自分の体にフィットさせるために縮ませよう
デニムの生地目はタテ方向によく縮むため、ウエストには生地をヨコ向きに、ヒップから裾にかけてはタテ向きに使っている。そのためウエストはキュッと締まり、ヒップは自然な丸みが出るようにうまく縮んでくれる。目安としては、ウエストでおよそ5cm、レングスで7、8cm縮む(デニム地によって違いあり)。
「フェアプライスでまじめにものづくりしているデニムなら、よく縮んでよく育ちます。メンズで信頼のおけるデニムブランドのレディス版なら、まちがいありません」
[LaLa Begin 2017 10-11月号の記事を再構成]写真/竹内一将 前川政明 伏見早織 武蔵俊介 文/間中美希子 楠井祐介 渡辺 愛 スタイリング/新田アキ ヘアメイク/内山多加子 モデル/小野りりあん ※掲載内容は発行時点の情報です。
