2020 Oct 30 Fri

フランス人の挨拶「ビズ」って知ってる!?【プチ・ニコラのフランス通信】

プチ・ニコラのフランス通信 第5回 様々な魅力と歴史的文化が混在しているフランスで、50年以上も愛され続けている絵本『プチ・ニコラ』。主人公の小学生ニコラが家族や友達と繰り広げる、エスプリの効いたくすっと笑えるストーリーは世界中で愛されているお話なんです。「プチ・ニコラのフランス通信」では、そんな国民的人気キャラクター・ニコラのストーリーを交えながら、フランスの実情に一歩踏み込んだフランスの文化やうんちくなどをお届けしていきます! 連載一覧はこちら

Bonjour! Ça va?(ボンジュール! サヴァ?)

今回は、ビズ(la Bise)という、フランス特有の挨拶の仕方についてお話しします!

ビズってなに? 初めて聞いた!という方も多いかと思います。
日本では、家族や友達などと挨拶を交わすときには、言葉だけ、あるいは言葉+お辞儀などのジェスチャーで行う場合が多いと思います。

アメリカでは挨拶をするときに、言葉+握手や抱擁(ハグ)を交わすことが主流です。それではフランスはどういう挨拶をするのか知っていますか?

フランス人の挨拶の仕方

フランスではBonjour!(ボンジュール)という挨拶とともに、フランス流の挨拶としてのキスを交わします。

友達や家族間などで、特別な愛情が込められていない、社交上の挨拶としてするキスのことをビズといいます。キス!?と思うかもしれませんが、唇と唇を合わせるのではなく、相手の頬と自分の頬をくっつけながら「チュッ」と口で鳴らすキスのことをいいます。

フランスでは家族や友人以外にも、仕事の仲間、知り合い、友人の友人であれば初対面でもビズをする習慣があります。

女性同士、女性と男性の間によく見られ、男性同士でも大変親しい場合はすることもあるそう。

日本人は初対面の人と会った場合は、接触をするとしても握手までですよね。日本でも赤ちゃんや子どもには愛情を込めたキスをすることはあるかと思います。しかし、友人や知り合いにする社会的なキスに関しては、日本では全く見られない文化なので、かなり驚きではないでしょうか?

ビズは聖書が書かれた時代から、受け継がれた文化!?

そんなフランス人特有の、社交的に交わすキスの文化は、いつから生まれたのでしょうか?

遡ること古代。フランスを含むヨーロッパにおいて、現代に至るまで多くの人が信じて読まれてきた旧約聖書にはその様子が見られたようです。

聖書の中のキスの一つに、「平和の接吻」があり、神様を信仰している者同士は、神の下で家族・兄弟と同じとされ、「聖なる口づけによってたがいに挨拶を交わしなさい」と説かれています。

親子や兄弟同士で、会った際や別れ際に挨拶のキスがされていた記述が多く見られます。
聖書が書かれたはるか昔から、ビズは受け継がれてきた文化なのだといえるでしょう。

またカトリックでは、神に見立てた偶像を礼拝することが許されていることから、十字架にキスをしたり、祭壇に唇をつけたりする習慣が昔から続いているようです。

ヨーロッパの国の中でも、ビズをする国はフランスやスペインなどのカトリックに多いことから、独特の挨拶文化には、宗教の影響が大きく関係することも考えられます。

現在は停止しているビズ!?

フランス人は最近どのように挨拶をしているのでしょうか?

2月末にナポリで行われた仏伊首脳会議では、マクロン仏大統領とジュゼッペ・コンテ伊首相が軽く頬を合わせた2回のビズで挨拶を交わしている様子が見られました。しかし、新型コロナウイルスの感染が懸念されているこの時期のビズには、周囲から疑問を投げかけられるきっかけに。

オリビエ・ベラン仏保健相は3月の記者会見で、握手のみならずビズもやめるべきだと発言しました。ビズという習慣が止められることになったのは今回が初めてではなく、14世紀にもペストを原因に一度中止になったことがあります。

フランスではお店や学校が再開され始めてもなお、現状ビズはまだ戻っていないといいます。

仏公共ラジオ局はロックダウン前にビズの代わりに、どのように挨拶をすればいいのか、10の挨拶方法を紹介。ひじを突き合わせる方法や、足を合わせるフットシェイク、ほほ笑んだり手を振ったりするなどの案が出され、フランス国民にビズの代わりとして取り入れられているようです。

『プチ・ニコラ』の第1巻でも、ビズをかわすシーンがあるので、一部抜粋で見ていきましょう!

ニコラの家にママのおともだちと女の子が遊びにくるシーン

おともだちが、女の子をつれて、お茶にくるのよと、ママが言った。
「ルイゼットには、うんとやさしくしてあげてね」と、ママが言った。
「とてもかわいいお嬢ちゃんだから、あなたもとてもお行儀がいいところを見せてちょうだい」

四時に、ママのおともだちが小さな女の子をつれてやってきた。ママのおともだちは、ぼくにキスをし、りっぱなお兄ちゃんねと、よくみんなが言うようなことを言った。

それから「これがルイゼットよ」と、ぼくに言った。
ルイゼットとぼくは、顔を見合わせた。ルイゼットは、黄色い髪を三つあみにし、目はブルー、そして鼻が少し赤らんでいて、赤いドレスを着ていた。ぼくらは、指先でさっとみじかい挨拶をした。

(『プチ・ニコラ』第1巻から引用)

その後、ニコラはルイゼットと遊ぶのですが、どうやらおとなしい女の子とはちがっていて……。その後の話は本を読んでのお楽しみ!

ニコラがクラスメートのアニャンの家に遊びにいくシーン

クラスメートたちと遊ぶために、ぼくが家を出ようとすると、ママが、だめよ、あの子たちは論外です。あなたはきょう、アニャンの家におやつを招かれている。アニャンはとてもおとなしい子で、お行儀もいいし、アニャンをお手本にしてくれたらいいのにねえ、と言った。

「アニャンとうんと楽しく遊んできてね!」
そしてぼくは家を出た。ドアを開けて、アニャンのママが出てきた。
「まあ、なんてかわいいのかしら!」と言って、アニャンのママは、ぼくにキスをし、そしてアニャンを呼んだ。

「アニャン! 早くいらっしゃい! おともだちのニコラですよ!」
アニャンは、ぼくを見ても、あまりうれしそうではなかった。アニャンが手を出したので握手すると、アニャンの手はやわらかかった。

(『プチ・ニコラ』第1巻から引用)

その後、ママたちにおとなしくしているようにと注意をされたニコラとアニャンは遊び始めるのですが、おとなしくしているのはできない性質で……。その後の話は本を読んでのお楽しみ!

このように、ビズはフランスで日常的に交わされていることがわかりますね。
今回はフランス人にとっての挨拶、ビズに関するお話でした!

第6回のフランス通信もお楽しみに!
Au revoir! (オ ルヴォワール)


プチ・ニコラシリーズ① Bonjour! プチ・ニコラ
定価:本体1,000円+税

プチ・ニコラのフランス通信

様々な魅力と歴史的文化が混在しているフランスで、50年以上も愛され続けている絵本『プチ・ニコラ』。主人公の小学生ニコラが家族や友達と繰り広げる、エスプリの効いたくすっと笑えるストーリーは世界中で愛されているお話なんです。「プチ・ニコラのフランス通信」では、そんな国民的人気キャラクター・ニコラのストーリーを交えながら、フランスの実情に一歩踏み込んだフランスの文化やうんちくなどをお届けしていきます!

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写真/編集部

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